2009年8月3日月曜日

おすすめの展覧会




独り居残りの機会を利用して、ゆっくり気ままな数日間の展覧会巡り。

ANNIE LEIBOVITZ

VanityFairの表紙を飾ったデミームアーの妊婦ヌード写真や、ジョンレノンが殺害される数時間前に撮影され、のちにRolling Stone紙の表紙になった、ジーンズに黒いセーターをきたオノヨーコに全裸でしがみつくジョンレノンの写真をとった人と言えば知らず人はいない写真家の展覧会。
彼女の家庭にはいつもカメラが回っていたという。家庭環境は勿論子供の将来にかなり影響があるらしい。
家族の写真が無数に展示され、その中には癌と戦う彼女の恋人Susan Sontagや死の間際の父親も登場する。52歳で第一子を妊娠した自分をSusan Sontagにとらせた写真も印象的。家族の写真はとてもパーソナルなものばかり。家族間の愛情が伝わってくる。
有名人の登場するポートレートも、ファインダーからの距離が常に至近。ファッション雑誌のポートレートはどれも絵画のように色使いや構図に気を配った斬新なものばかり.感心を繰り返して満喫した。
Gerhard Richter

デジタルのモザイクや、フォトペインティングで有名なドイツのアーチスト.周りの美術通の人が絶賛するのは聞いていたし、今回の展覧会のフォトペインティングも面白そうだと思ってみていたので早速Fundacion de Telefonicaへ。ところが、色合いや技法はさることながら、実際は10X15位の普通サイズの小さい写真にアブストラクトにペインティングされたものが数百点ずらっと並んでいたため、終わる頃には少し退屈してしまった.予備知識が足りなかったのかもしれない.興味があれば詳細は彼のウェブサイトでご覧頂けます.

JOAQUIN SOROLLA

これは実はこの夏一番の本命の展覧会。
プラドに着くと、時間制である事が判明.やはり大人気の模様。2時間待つ事に。

その間、お気に入りのグレコとルーベンスを見てふらふらとカフェテリアでお茶を.マーブルケーキが意外とおいしかった。
この展覧会のために、わざわざ美術史の教授をしている友人を連れにしていきました!

ヤット時間が来たので一番乗りで入場。
そこで見たものは。。。あまりの素晴らしさに呆然.
巨大なキャンバスに太い絵筆でばんばん描かれたこの絵は実際に目にすると心臓が止まりそうになります。船の帆は全くキャンバスからはみ出して風を孕んで、漁師たちや船を引っ張る牛は今にも動き出すようです.全く圧倒されました.

このあとも、どの絵を見ても感激の連続.どの絵も生命溢れ、みずみずしく、五感を刺激するような絵画ばかり.

妻や子供達が登場する絵も多く、幸せそのものの家族生活を思わせるのですが、その彼も2歳のときに一才違いの妹と二人でコレラのせいで両親に他界されてしまうという、悲しい経験したひとで、それでも、運良く人の良い子供のいないおじさん夫婦に引き取られ、家業を手伝いながらもおじさん夫婦の支えで、ついには絵の道に進むことを果たした苦労人なのです.

本人の、素晴らしい生家を美術館にしたソローヤ美術館を何度も訪れていて、そのイメージから、何の苦労もない人生を送った絵描きだと勝手に思っていただけにあらたな発見.さらにソローヤに関して興味がわきました.

専門家の友人曰く、”でも、この時代にはピカソはもっと先をいった絵を描いていた”。そんな事どうでもいいんです.こんな素晴らしい表現の出来る絵が描けるのですから.ときには専門家のコメントも美術鑑賞には全く不必要です.

この展覧会は必見中の必見です!

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ





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